ファスト・エンターテイメント

情報化社会の宿命なのか、手軽に消費できるエンタメが闊歩しているなと思うこのごろ。

ちょっと前に「ファスト映画」なんてものが問題になったりした。これは、本来だったら観るのに1時間2時間かかるはずの映画を、10分程度にまとめて概要だけかいつまめるようにしたコンテンツだ。そもそも著作権的にほぼ真っ黒なので投稿者は完全に論外なのだが、視聴者の側も映画を数時間かけて観る意義を忘れてしまっているように感じる。

確かに映画の内容をまとめてオチまで話しても、それ自体は10分あれば事足りる。しかしそこに至るまでの過程だったり演出だったりが肝なわけで、それらを削ぎ落して残ったものを視聴しても果たしてそれは「映画を観た」と言えないだろう。

この「ファスト映画」問題は何も映画に限った話ではない。書店に行けば手軽に読めるオムニバス形式の小説が平積みされているし、ゲームもスマホで簡単に遊べるものが主流になってきている。

コンテンツが溢れる世の中だからこそ、しっかり時間をかけてエンターテイメントを楽しむ姿勢を大切にしたいものである。